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自分で自分に答えてみたシリーズ3【金利平価と購買力平価について】

Q:現在円安ドル高になっています。アメリカはインフレとなっており、金利を引き上げています。
これをそのまま相対的購買力平価に当てはめてみると、アルゼンチンペソや、トルコリラのようにどんどん円高になりそうですが、アメリカに至ってはそうはなっていません。一方日米金利差を利用して、今のドル高を説明していることもありますが、これが金利平価の考えだとすれば、両者は矛盾していると思います。今は金利平価の考え方が当てはまりそうですが、どちらが正しいのでしょうか?

2022年8月の質問

 

A:相対的購買力平価はインフレ率を基準に為替レートを決定する理論です。金利平価は金利の変化率を基準に為替レートを決定する理論です。アルゼンチンペソやトルコリラなどは、インフレが通貨価値を引き下げ、相対的に諸外国に比べ自国通貨での購買力がよわまっているため、為替レート上自国通貨安となっています。ちなみにアルゼンチンの2022年のインフレ率は94.8%、2023年の予想インフレ率99.9%だそうで、毎年2倍ずつ上がっています。トルコは2022年64.7%です。

 政策金利はアルゼンチン年率75%、トルコ8.5%。トルコもアルゼンチンも自国の政策金利以上にインフレになりれば、為替は下がるのではないでしょうか?

 一方アメリカの場合は、日米の金利差によって為替レートが上がっています。これは金利平価によると説明がつきそうですが、購買力平価ではうまく説明できないのではという質問内容でしたね。

 アメリカがインフレを加速させたのはあくまでコロナ後のゼロ金利政策によるものでした。アメリカのゼロ金利政策はこれが2回目(1回目はリーマンショックの頃)ですが、本当の意味で10年債利回りが1%を下回ったのは、今回が初めてでした。これによって、インフレが加速しましたが、それまではアメリカのインフレ率は2%程度でした。利上げによるインフレ鎮静が見込めると踏んで、短期的には金利平価の原理が優位に働いたのかもしれません。インフレが継続し続け、ドルの価値が本当になくなれば先の購買力平価のようになるのかもしれません。

 注意してもらいたい点は、アメリカはごく最近インフレのような状態になったという点です。インフレの定義は物価の上昇ではなく、物価の継続的上昇です。一時的に利下げになったから物価が9%高騰しただけではインフレではなく、それが毎年のように継続して起こることをインフレといいます。

 これをパウエル(FRB議長)は懸念して、金利を引き上げているのが今のアメリカです。そうすればインフレはやがて鎮静化し、物価も安定するだろうという目論見です。そうすれば、相対的に物価水準の上昇が止まってくれればドルの価値は相対的にちょっと減っただけで済むでしょう。だから、インフレはやがて収まる前提で金融政策をしているので、アメリカと日本は金利差の分だけドル高傾向が続いているのです。

 ここまでで何がわかるかを整理します。金利平価説は、金利差で為替レートが決まるというのは短期的な考えに基づいており、相対的購買力平価は長期的な考えに基づいているということです。

 アルゼンチンやトルコのインフレスパイラルも高政策金利も今に始まった話でなく、ずっとこれが続いているわけです。対してアメリカは本格的にはコロナ禍より始まりました。この違いが、金利平価か購買力平価かという点です。

 

結論

 金利平価は短期、相対的購買力平価は長期的な説なため、両者は矛盾しない。しかし、計算したら必ず実態経済を反映できるような精密なものではない。

 

以上

 

BA取るならこれくらい書かなかんかな?