自由の側にお金を流すか、不自由な側にお金を流すか?
皆さん分水嶺ってご存じですか?ちょうど山の頂上というか、沢が流れる分岐点で、日本海側に流れるか太平洋側に流れるか?その境目のことを分水嶺といいます。
何が言いたいかというと、FIREして資産収入から飯を食おうをと思えば、資産を取り崩さないといけません。それはあたかも、自分が資産を取り崩すことで自由の側にお金が流れていくか、不自由の側にお金が流れていくかを見定めないといけません。
どこが分水嶺なのか見極めよう
私たちFIRE民がよく使っているのが、ご存じ4%ルールです。あれは確かに分水嶺のピンポイントのようなものですが、この分水嶺は生活費、取崩金額および総資産により変動します。分水嶺はあくまでピンポイントなのです。
このピンポイントで安定している場所のことを物理では不安定的静止というのだそうです。ちょうど底が丸いボウルの上にピンポン玉を乗せた状態をイメージすると分かりやすいです。ちょっとの力で自由の側(お金が増える方)にも、不自由の側(お金が減る方)にもなってしまうのです。
しかし、何もしていない(力が0)状態で止まっているのですから、少し動き始めた時に止めるのは、さほど難しくないはずです。オーバイでも本当に安定させると、タンクの上に人差し指を乗せるだけで静止することができます。これがちょっと不安定になったら、片手で抑えられる範囲で支えられる所で止められさえすればいいのです。
それをほんの一瞬のタイミングを逃しただけで、大きな力を加えないと止められなくなります。4%ルールは確かに95%程度成功しますが、残りの5%に入りたくはないですよね。
FIRE後の暴落に来ると、取崩せなくなるか資産が枯渇する
S&P500を1929年からシミュレーションしました。1929年は世界大恐慌が起きた年で、その年にFIREした場合、次の年から定率で4%ルールで取り崩した場合、生活がを維持できるほどの資産を得ることはできませんでした。そんな期間がなんと21年もありました。その期間を全く取崩をしないとしても、全く取崩せない期間が16年ありました。
最低取崩資金を割っても取り崩した場合(右が取崩後資産推移)ドルベース
1929年から1986年まで
他もベトナム戦争中の66年、オイルショックの73年、2001年ITバブル崩壊、2008年リーマンショックといずれも、数年間は取崩せない期間がありました。一方では、1955年、80年時のFIREであれば全くお金の心配をする必要がなく、取り崩す金額は資産の成長とともにどんどんと大きくなりました。
1954年から2011年までの推移。きれいに右肩上がりとなっていて、資産推移にブレが少ない。最晩年にITバブルとリーマンショックが来るが、大勢に影響なし。資産を取り崩してもなお平均年リターン(幾何平均)は4.5%もあった。
立てられる対策
★年金をもらえる年になったら、債券の比率を上げる
★金のETFを買う
★高配当株に切り替える(ただし暴落が来たら減配のリスクあり)
★高齢化に伴い徐々に現金比率を高める(しかしシミュレーションではむしろ高齢化と共に資産が大幅に上昇する)
最悪暴落が来てからの動いても遅くはない
正直これは私の感想ですが、年単位で取り崩しているうちは、暴落が来てから動いても遅くはないと思います。ただし、暴落が来たらどう動こうかはいつも念頭に入れておく必要があります。大概の場合、軽い労働をする、取崩を減らすか停止するか。それでも前年に取り崩した1年分の貯蓄がまだあるはずです。その期間に何か対策を立てても遅くはありません。
検証してみて一番思ったのは、最初の1,2年が一番の山場だということです。これを乗り切ることができれば、少しずつ資産が増えていく方向に向かうと思われます。
2年連続2桁下落はいつ襲ってきてもヤバい
順調に成長してきた資産も、2年連続2桁の下落で、元本割れのリスクを伴います。1929年からのデータですと、2年以上2桁の下落があった回数は4回でした。
①1930年⇒-11.5% 1931年⇒29.0% 1932年⇒-51.0% 1933年⇒-12.6%
②1941年⇒-16.4% 1942年⇒-12.1%
③1974年⇒-16.8% 1975年⇒-20.1%
④2002年⇒-17.3% 2003年⇒24.3%
FIRE10年未満の場合、これらのことも頭にいれて対策しておきたいですね。